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アウトサイダー



ジョニー・デップが「脚本の冒頭3行を読んで、出演を即決した」という『リバティーン』。
でも私にとっては、何とも表現の難しい映画…うまく言葉になるかな?

17世紀のイギリス。「ロチェスター伯爵」という実在の人物で、33年という短くも激しく人生を駆け抜けていった放蕩詩人のストーリー。女好き・お酒好き・ポルノ作家としても活躍していたという彼と、彼を愛する3人の女性(妻・娼婦・舞台女優)、また彼を見守り、突き放し、利用する国王チャールズ2世の人間関係に焦点を当て、物語は進んでいきます。
「リバティーン」という言葉は、放蕩者っていう意味があるとの事。それだけに際どく、時には眉間に皺が寄っちゃうようなシーンがあったり、字幕を見て「こんな表現、使っていいの?」みたいなシーンもたくさんありました。初めてのデートを楽しむカップルが一緒に観て「よかったね!」って感想を述べ合う映画ではないかな…(苦笑)

時代背景やストーリーの流れにちょっと分かりにくい所があるものの、ジョニー・デップの演技力には脱帽。最初はプレイボーイ、途中からみるみる内に衰え、朽ち果てていくロチェスター伯爵の人生を、演技とは思えない演技で観客に見せ付けていました。脇を固める俳優・女優陣の演技にも引き込まれるものがありました。

以前ジョニーが何かのインタビュー番組に出演していた時に「僕は、普通じゃない、あるいは落伍者、社会に居場所がないと思われている人達に魅せられていて、そういう人間を演じたい」と話していた事を思い出しました。そうだ。だから彼は3行読んだだけでこの映画の出演を決めたんだ…きっと。

17世紀という時代については詳しくないけれど、この映画を観て改めて思い起こしたのは、当時は芸術と政治が非常に密接であったという事。今それをしたらプロパガンダみたくなっちゃうんだろうけれど、数百年前は芸術家と宮廷は切っても切れない関係にあった。演劇も、音楽も、絵画も、宮廷や国王に気に入られる作品を作り、残す事で、芸術家達は生き残ってこれた。また宮廷側も、それら作品を外交策に使ったり、国民に自分達の思想を植え付けたり…
一方、ロチェスター伯爵は破天荒、権力をも恐れずに自分の芸術性を貫くんです。自由に奔放に…でも、当時そうする事は国家に対する冒涜や反抗と見なされる。
権力に屈せず自分の好きな様に生きていたロチェスター伯爵の人生、実はとても孤独なものだったのかもしれません。

それにしてもジョニーはやっぱり美しい!
面食いではない私も(笑)、彼の美しさはキラキラと眩しく感じます。次回上映作の海賊ジャック・スパロウ役を演じる彼を見るのも今から楽しみです。

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by yukikowind | 2006-04-29 23:48 | スクリーンで映画を | Comments(0)
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